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清潔な冗談

 
 
 
その冗談は、シミや汚れが一切無い、とても清潔なものだった。

笑い声の向こうに潜む憐憫が見える。
笑う者の優越。その根拠になるのは自らの皮膚、その表と裏にあるシミや汚れの存在だった。

その清潔な冗談はいつまでも、暖かく受け入れられ続ける。
大して面白くない。それがどうした。
皆、本能に近いところで、その清潔な冗談を保護しようとする。
やがてその冗談にシミが付き、老ねた匂いを放つ時、笑い声たちはため息をついてから改めてもう一度笑い、それから、次の清潔な冗談を求めて歩き始める。

歩く集団の中には、かつての清潔な冗談の主もまざっている。
 
 
 


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