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プロジェクター

 
 
 
光が当たっているところばかりを見ていたら、目が馴れた。
目は馴れたけど、爪楊枝みたいなカスカスの身体と、その周囲にノッペリと張りついている馴染みきった空気は、まだ光そのものを知らない。

いつだか、たまに会う人から、映画用にプロジェクターとたくさんのスピーカーを購入した話を聞いた。
それを羨ましく聞きつつも、頭の奥に映し出されたのはなぜか、誰もいない客間に放置されたプロジェクターセット一式がホコリをかぶっている静止画だった。

光は窓から、もう開けられないケースの上に差していた。
おおむね正しいその現象に満足しながら、ありもしないその客間でずっと、差す光を見続ける生活を思う。
それも、悪くないと思った。
 
 
 


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