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雨の料理店

 
 
丘の上にある東南アジア料理店は露天風の店構えが売りで、僕はあまり面識のないカップルと三人でこの店に訪れた。

二人は僕に、好きな席について構わないとだけ伝えて、僕から離れてカウンター席についた。邪魔をするなという意味なのかなと思いながら、僕は四人がけの席にひとりで座った。

なんで一緒にいたんだろう?

雨が降っている。この店には何度か来たことがあるのだけど、なぜかいつも雨の日ばかりだ。僕が座った四人がけの席には雨よけの屋根がついている。だから上からの雨は避けることができるけど、横から入り込んでくる雨は避けようがない。僕は右肩から濡れはじめた。

どうして僕はここに座ったのだろう。後悔していたら「相席よろしいですか?」と訊ねながら日系人の男性二人組が僕の隣と向かいに腰かけた。塞がれた。これで席を立てなくなった。他に空いている席はいくらでもあるのに、なぜこの席なんだろう。考えている間に右肩から染みこんでくる雨が、シャツにまで浸透してきた。

雨に当たりすぎて寒い。僕は肩をすぼめながら食事が配膳されるのを待っていた。

そういえば注文をした覚えがない。けど、なぜか配膳してもらえるという確信だけはあって、それに何の疑いも持たないまま、ずっと、右肩を濡らしながら座っていた。雨はたぶん止みそうにない。
 
 
 


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